にわかポリネシアブーム?


筆者は久々にポリネシアブームになっております。
大体、筆者はだぼはぜというか何と言うか、一時期特定のテーマにのめり込んで熱中するが、何かのきっかけで別の話題にとびつき……という悪い癖があります。
中には、数年を経て昔のテーマに戻ることもあり、ポリネシア(含むメラネシアミクロネシア)はその一つ。
きっかけは、日本の各地に残る意味不明の地名の数々(何でそれが気になりだしたのかと言われると、それもまた困ってしまうのですが)。 たとえば、「埼玉」。日本の県なので、耳慣れてはいるのですが、サイ+タマ。タマは「玉」だとしても、「サイ」って何でしょうか? サキだとしても、サキのタマ? これでは何を表しているのか今一つ分からない。きっと故事でもあるのか、それとも当て字で、昔は別の意味があったのか(アイヌ語?)と思っていると、以下のようなホームページに行き会いました。

ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源

このホームページは、しばしば日本語では意味不明な日本の地名を、日本語の祖語のひとつだったと考えられるポリネシア語で読み解こうというもの。思わず目からうろこの解釈もあり、筆者は最近ちょくちょく読んでいます。
日本の地名はそもそも(今の日本語から見ると)外国語によって名付けられている、というのはアイヌ語起源説も共通ですが、縄文時代に航海民族であるネシアの人々の一派が日本に到来しており、日本人の祖語にポリネシア語の一派がまじっているという議論には、(ネシアの島々で縄文式土器とそっくりな土器が発見されるという話と考え合わせると)なかなか共感できるものがあります。
不思議なひびきの古い地名や、意味不明の隠語の数々の謎の一端に光を当ててくれるようでなかなか魅力的な考え方です。

ちなみに、ホームページではまず、オリエンテーション、入門編がお勧めです。
あとは解釈の羅列になってしまいますので、突然読むと入り込むのが難しいかも知れません。
阿蘇山などの「アソ」地名、富士山や芦ノ湖近辺の「アシ」地名、「アサマ」や「タラ」などの山岳地名、湾などに見られる「カサ」地名、マタギの隠語の解釈などなかなか興味深いです。

それにしても、惜しむらくは、日本の遺跡からまだアウトリガー艇(転覆を防ぐために舷側からフロートを延ばしてある形式の艇)や、ダブルカヌーが見つかっていないこと。
縄文遺跡から見つかるような小型のくり舟では航海はさすがにちょっと無理で、少なくともある程度の大きさかアウトリガーは必要な気がしますし、また、日本は(アジアでは例外的に)頑固な横帆文化ですが、ネシアの人々は伝統的に縦帆であったらしい事などが気になるところ。
文化の底流でいろいろ入り交じってしまったのかもしれませんが、生活に密着した便利なものは、おいそれとは変わっていかないらしいことを考えると、舟の形や帆の形式などは、津々浦々に、すくなくともある一定の期間根付いていても良さそうなもの。特に縦帆のように取り扱いがしやすく、便利なものであればなおさらです(それとも、縄文頃のネシアには、まだアウトリガーも縦帆も無かったのかも知れません)。
アジア東端のこの小さな島の歴史の起源は、まだまだ複雑な要素をはらんでいるかのようです。

[航海日誌中の関連URL]
海を越えた縄文人

[参考URL]
ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源