ヴァイキングの足跡


筆者は、ダブルカヌーに乗って太平洋の島々を航海して回ったネシアの人々(もしかすると、縄文人と同根の人々)にも興味を持っていますが、もう一つ、北方の航海民族であったノルマン人(いわゆるヴァイキング)の人々にも惹かれています。
北欧の厳しい自然の中に生き、双頭・クリンカー張りの漕走兼用の軽帆船を乗り回し、コンパスもまだ知られていない時代に大洋を渡りきる航海技術を持ち、アイスランドグリーンランドアメリカ大陸を最初に訪れたヨーロッパ大陸人。
身の毛もよだつ数々の襲撃によってヨーロッパを恐怖のどん底に陥れ、後に、フランク王国から使者を迎えた際に、「我々は支配者を持たない、皆、平等だ」という伝説的な台詞を残した人々。
この本は、そのノルマン人達が、いかにヨーロッパの歴史に現れ、いかに広い範囲に足跡を残しているかを示しています。その範囲は、西はアメリカ大陸から、南は地中海(例えばシチリア)、東はコンスタンチノープルまで、非常に広範囲に渡っています。
また、彼等のアメリカ大陸への遠征が決して単なる漂着ではなく、意志と確かな航海術をもって複数回以上繰り返されたことも示されます。
大航海時代になって、クローズドデッキ(中に居住区を持つデッキの張られた)の本格的な帆船が現れますが、この屈強な航海者達は、オープンデッキの帆船に乗って、北大西洋の荒海を乗り切っていく力と意志と技術を持っていたことに驚かされます。
そして、イギリス、ロシア、シチリアなどで王国をうち立ててゆくのです。
筆者のヴァイキングへの興味を遡ってみると、昔々、「小さなバイキング ビッケ」というアニメ番組を見たことに行き着くようです。そういえば昔、「宝島」など、航海ものの冒険アニメを結構見た気がします。なんだ、こんなところにもフネへの興味の根っこがあったのかと。うーむ、影響を受けやすい自分……。
とまれ、この本は(筆者的には特に前半部分が)面白いです。ヴァイキングに興味を持っている方は、是非とも読んでみることをお勧めします。

ヴァイキングの足跡―「海賊・冒険・建国の民」ノルマン人の謎 (Ariadne romantic―古代文明の謎を追え!)

ヴァイキングの足跡―「海賊・冒険・建国の民」ノルマン人の謎 (Ariadne romantic―古代文明の謎を追え!)

ISBN: 438402374X

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