土浦は何かを隠している(was 3 月 4 日)


3 月 4 日の話です。
ハル塗装終了(中断かも知れませんが……)後、少し時間があったので土浦の街へ出てみました。
折しも土浦は雛祭り。
あちこちの店で、雛人形を飾っているのだそう。
代官殿と筆者は、まずは土浦城址へ。
正直、あまり期待はしていなかったのですが、西の櫓に入ってみたところから目算違いがはじまりました。
日本地図に江戸時代の大小の大名と石高をプロットした展示が出ていたのですが、支藩レベルまでプロットしてあるため、有名無名の大名がぞろぞろと。これはちょっと面白いです。これが、市販の日本地図の上に、手作りでプロットされているため、妙な趣があったりもします。博物館の学芸員の方が作られたのでしょうか。
同じ券(壱百五円也)で博物館にも入れるため、いざ中へ。
土浦はかつての商業の街。霞ヶ浦の舟運に関する展示なども多く、これもなかなか興味深かったのですが、面白かったのは綿糸の紬車の実演(というより、「体験」を見学している格好だったのですが)。つむぎ車を回しながら綿から糸を紬ぎだして行くのですが、糸を巻いている軸に対してほとんど並行方向に引っ張りながら回転を利用して綿から糸を紬ぎだし、同じ回転で糸によりをかけ、十分に細くなったら今度は軸に垂直にして出来た糸を巻き取り……という一連の作業に思わず見入ってしまいました。あんなに単純な道具で見事なものです。昔の人はよく考えたものだと思います。

さて、その気分で見たからかも知れませんが、何やら土浦は不思議な感じです。
「ドイツ風ビア・レストランエルベ」。ちょっとお高いのですが……ちょっとお洒落な建物が路地裏に隠れていたり、庭に古い倉のある家があってみたり。
雛人形を見に入った観光案内所自体が、横に土蔵(展示室になっている)のある古い商家であり、二階へ上がって、畳の間を通って、狭い階段を下りて……という中に雛人形やつるし雛が飾られていて、面白い雰囲気でした。
向かいの建物も、奥へ入っていくと喫茶店が隠れていたり、ちょっといい感じです。
昔の水運の街らしく、琴平神社がある脇を抜けて、小道づたいに土浦城まで戻ったのですが、「何かを隠している」感じがします。あまり PR されていない古い街の雰囲気なのかも知れませんが、枯れていつつも、妙に奥ゆかしい気がしました。
この一角だけなのか、それとも、古い寺社や街道をめぐってみると、もっといろいろなものが隠れているのか……。
とまれ、この日は嬉しい誤算なのでした。

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