のんびり系のち疾走(天王崎復路)


5 月 1 日は天王崎復路。
麻生のあたりは、東京方面から来るのに便利なところとはいえないのですが、電車・タクシーを乗り継いで福丸さんが来てくれました。
なんでも、香取の駅で、次の列車もなく、タクシーも呼べと来ずの状態で大分足止めをくった模様。結局、なんとか電車で潮来まで出て、そこから麻生まできてくれたのだそう。どうもありがとうございます。

昼食を船上で食べようということで、軽く買い出ししてから 10 時ちょっと過ぎにフネを出します。最初の目的地は歩崎。
出港して少しの間、筆者はいろいろごたごたやっていてキャビンの中にいたのですが、キャビンから出てくると、何故か豚児の R と福丸さんの間で、救命浮環のテスト(?)をする話がまとまっていました。なんでも、R が言ったなにやら一言がきっかけだった模様。
で、いつも船尾につけている馬蹄形の救命浮環を船尾から投げ込んでみたのですが、軽い気持ちが、意外と収穫がありました。
救命浮環練習中浮環につけているロープがもつれていて、スムーズに出て行かなかったのは論外として、6 knots 程度で航行中は、大したサイズの無い浮環でも、一度出してしまうと、ロープで引っ張り込むのはかなり困難なのです。仮にこれに人が運良くつかまれたとしても、行き足がある状態で人ごと浮環を船尾に引っ張り寄せることなんか絶対に出来ません。ましてや、荒れていて波が高い状態だったらと思うと、ちょっとぞっとします。
救助はやはり停止して行うことが原則で、浮環についているロープは、人と浮環がフネから離れていかないようにするための最低限の保険ぐらいに考えておかないとならないようです。
R が言ったなにやら一言で、思わぬ練習が出来てしまいました。たまにはやってみないと駄目ですね。

さて、浮環を回収してセールアップ。
最初はポートタックのアビームくらいの風。風は風力 3 くらいでしょうか。あまり強くありません。
セールは昨日の No.3 をそのまま付けていますので、ちょっと面積不足かも知れません。ブローが来るとするすると加速し、ブローが去るとのんびりモードに戻る感じで帆走。
景色はかなり霞がかかっており、遠近感を間違えるような状況。いろいろなものが遠くに見えて、針路を誤りそうになりますが、景色的には結構風情がある状況です。
途中、舵を福丸さんに交代して、歩崎へ。
風は南やや西の風のまま次第に落ちてきて、歩崎沖に着く頃には湖面がぺったんこになっていました。
そのまま機走で港内に入っていって繋留、昼食タイム。
代官殿が『CACAO 99%』なるチョコレートを買ってきていたのですが、これが凄まじい味で、思わずびっくり。うーむ……これほどとは(^^;; 『健康食品』だと思って食べるしかありません。半分我慢大会のようなところもあります。うーむ……売れてるのかしらん。

さて、カカオでぴりっとした(?)ところで再出港。
昼食の間に風があがってきていて、大分ヒールが入ります。
風向きからして、ちょうど上り帆走。志度崎をかわしきれずに、タックで逃げたのですが、どうも上り角が出ません。福丸さんの GPS によると、タッキングアングルが 110°くらい。
タックを返して、5.5 knots 程度で帆走しているのですが、どうにも上れず、右舷側から鯉の養殖場がどんどん迫ってきてしまいます。
タックを返すかどうするか迷ったのですが、ジブセールの後縁がかなりツイスト(カーブ)していて、ジブシートリーダーの位置の割には引き込めていないように思えたので、No.3 のリーフ用に少し上の方に空いているクリューにロープを付け替えて、ぐいっと引き込んでみました(ちはやの No.3 はリーフ可能なタイプなのです)。
これで上り角が改善するかと思いきや、セールをいきなり引き込んだのは半分失敗で、フネががくんと減速してしまいます。
スピードが無いと、リーウェイ(風下に流されること)を止めることが出来ません。船首はかなり風上を向いているのですが、養殖場へ斜めに流されていく感じになりました。
そこで、セールを少し出し気味にして船首を風下に振り、スピードを乗せてから再度セールを詰めていきますが、スピードがつくのが先か、右舷から迫ってくる鯉の養殖場が先か、微妙な勝負になってしまいました。まるで、失速しかけた飛行機が地面にぶつかる前に回復できるか、必死の努力をしているようなものです。
養殖場をかわす(中央右手の四角い建物)どうしようもなければタックを返す準備をしたのですが、幸いにして、艇は次第にスピードを回復して、上りに転じます。
風上への切りあがり角がぐいっと良くなり、一度は墜落(?)しかけた養殖場から浮揚していきます。
これで一安心。
かなり強くなってきた風の中を、5 knots ちょっとでの上り帆走。
実際のスピードはともかく、船首で飛沫をあげ、かなりのスピード感で疾走。
この日はかなり暖かく、飛沫を浴びながらのハイクアウトもなかなか楽しいです。豚児の R は、福丸さんと二人で風上舷に出ていてずぶぬれ。でも楽しそうでした。
余裕が出来てきたので、少ーし上り角を落として帆走。速力 5.7 knots。6 knots までいったタイミングもある模様でした。
舵とハイクアウトを交代しつつマリーナまで。ヒール角は 25〜30°くらいで、かなりヒールしっぱなしでしたが、こういった疾走も、操船する緊張感とスピード感が強く、なかなか楽しいです。
帰ってから霞ヶ浦工事事務所で見てみると、この時間帯の風速は 8m/s 前後。風力 4 と 5 の境目あたりだったようです。
15 時半頃、マリーナに無事到着。
いやー、充実のセーリングでした。福丸さん、来ていただいてどうもありがとうございました!!