スピンネーカーとジェネカーの優劣


現在、スピンをつけようかジェネカーをつけようかと悩み中のヨット仲間が居ます。
操作上は、ジェネカーは扱いにくいスピンポールもありませんし、少人数で扱えるセールなので、少人数での出港が多いフネにはちょうど良いセールだと思っているのですが、とはいえ、スピンネーカーはヨットの華。「レースをするならスピン」という意見もあるようで、果たして、双方のセールにはどういった優劣があるのか、考え込んでしまいます。(「スピン ジェネカー 優劣」で Google 検索をしても、かつてのニッチャレ関連の論文くらいしかひっかかって来ませんし……)

で、知識不足ながらもちょっと考えてみました。
昔、アメリカスカップの記事を読んでいて、「軽風域ではジェネカー(非対称スピン)、風が強くなってくるとスピンネーカー」というように使い分けているといったような記述があった記憶があります。
また、ジェネカーはジブと同じように展開するため、より風上に上れる反面、下り時にはメインセールのブランケット(無風域)に入りやすく、船首を風下に向けると、スピンに比べて失速しやすいようです。
このあたりをヒントに考えると……。

1. 十分な風があるときにはスピン有利
 スピンの方がジェネカーよりもより下ることが出来る(スピンの方がメインのブランケットに入りにくいため)ため、風が十分な強さの場合、スピン有利。
 ただし、例外は 2. のケースが考えられる。

2. 風が弱いか、艇速がとんでもなく速いときにはジェネカー有利
 風が弱くなってくる(あるいは艇速がとんでもなく速くなる)と、艇速による相対風向の振れが大きくなり、風が強いときに比べて、より風が前に回る。このため、見かけの風が前よりになりやすく、上り帆走に強いジェネカーが有利になる

という結果になりそうに思われます。
これが本当かどうか、また、定量的にどの風速(または艇速)から優劣が分かれるのかは分かりませんが、スピードが異次元のように速い艇(20knot+の艇。例えば THE RACE などのカタマラン艇や、舵誌 5 月号に載っていたTP52『エスメラルダ』など)は、スピンではなくジェネカーを使うようです。

情報不足で筆者の考察は今のところここまでですが(詳しい方のご意見をお待ちしております mOm)、何か良い情報が見つかれば、再度ご紹介していきたいと思っています。

[追記]
ノースセールの H.P. にスピンネーカーとジェネカーの使用風域と角度のダイアグラムが出ていました。
種類(シェイプやクロスの厚さなど)によって適正な風域や角度もさまざま。
おおむねの傾向はありますが、一概に「こちらが有利」とは言えないようですね。適切な風域・角度、予想される風向や風速の変化に対して適切に設計されたセールを当てる、ということのようです。
ふむ。自由に選べるなら、自分ならどんな組み合わせで積むのかな……。

スピネーカーコード表